乖離する
離れていってる気がする。乖離と言えばいいのだろうか。
乖離している。漢字は書けない。パソコンだからえらそう
に漢字へと変換させる。頭の端っこに、200海里のことを話
していた先生がいたな、と思うが、顔は浮かばない。離れた
距離はいったいどのくらいなのだろう。
離れても、手綱があれば引き寄せればいい。俺は手綱を離
してはいない。握っている。黒ずんでしまっているが、俺の
手綱だ。それは、わかる。
風が吹いたのだろう。正月、凧が舞い上がるように、くる
くるくるとのぼっていってしまったに違いない。
おーい、どこいったんだい。
はて、どうやって、取り戻そう。
仕事は正しくこなしていている。しかし、「ちゃんとやっ
たのか」と、数分後に気づく。本を読んでいて、活字が入っ
てこない状況に近い、といえばいいのか。間違っていないだ
け救いがあるのだけど、気持ちはよくない。離れている分注
意も遠くなる。俺は、自分の仕事において、注意魔なのだ。
ほんの些細なことでも、気になれば直す。時間はかかる。そ
れでいい。が、そこに誤差が出てくるから、なあなあは嫌だ
と、いらだつ。
神経衰弱? ああ、そうか、俺の手元にはカードが一枚し
かない、あったとしても対になるカードは遠くに行ってしま
っている。ハートかスペードかキングかエースか、ジョーカ
ーかが。
どこまでのぼったんだか知らないが、もう一枚のカードよ、
そこから、カードをきって戻っておいで。一枚じゃ、寂しい
じゃあないか。ゲームも進まないんだよ。
もどらねぇと言うのなら、こっちが迎えに行くさ。けどよ、
遠ければ、遠いほど、こっちは汗かくぜ。手綱持ちっぱなし
も疲れるからさ。
はて、どうやって、カード見つけよう。
そんなことを、親父がシンクロの特番を見ている横で考え
る。鼻の下を親父は伸ばす。70歳。どこみてるんだい。
俺は30歳。
まあ、少しだけ、鼻の下も伸びるさ。
カード、カード。
とりあえず、おでこにはない。
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