リハビリでござる
水曜日、発送のあと用事がもうひとつあり、ちゃりんこで
その場所へ行き、用事を済ませて、久しぶりにバーミヤンに
入った。
「お煙草お吸いになられますか?」「はい」。自分は突き
当たりの席に坐った。その席は喫煙席であるのだけど、ふた
つテーブルをおいて赤ちゃん連れの親子がいて、帰りがけて
いたので、いなくなるまで煙草を出すのはやめておいた。
注文をして、ああ、ウェイトレスの子がチャットモンチー
の橋本さんに、いきものかがりのボーカルの子を足して2で
割った顔をしていたので、1品余計に注文をして、って話は
いいか、ホットコーヒーをいれに行こうと席を立ったら、親
子も席を立った。
コーヒーをテーブルに置き、煙草に火をつけ、読もうと持
って来た、堀江敏幸「子午線を求めて」のページを開いた。
なのだが、左側にある窓の外に動きを感じて目線をそっちに
やった。マンションの2階から、たぶん20代中頃だろう白
いTシャツを着た女の子がどこかに出かけようとしていた。
「なんだなんだ」と、目線を文庫本に持っていこうとしたの
だけど、違うものがどかんと目に飛び込んでいた。
鉄塔である。
まっすぐに鉄塔が10くらい並んでいた。これは「なんだ
なんだ」ではなかった。ただ、すげえなと思ってしまった。
まーっすぐ、電線を伸ばしていた。自分の上にも電線は伸び
ているんだろう。どこかに電気を運ぶ。
そこで思い出したのは、吉祥寺から中央線上りに乗り、西
荻窪に行く間。鉄塔と電線が長く、長く続いている光景が見
えることだ。駅に入ってしまうと違うのだが、それまでは遮
るものがあまりない。
ほけっとそのことを考えていたら、注文したものが運ばれ
てきた。
※ ※
ここ1年半くらいかかっていた、仕事がこの前一段落した。
やっとのやっとのやっと。仕事の愚痴なんて言うものじゃ
あないけど、張りつめていた精神的な糸がうまく緩まなくっ
て困っている。
宮崎駿さんと比べたら、俺なんて埃みたいなものだけども、
いわゆる神経衰弱なんだろう。
今の気分を歌うとすると、これになる。
「人のためによかれと思い
西から東へ かけずりまわる
やっとみつけたやさしさは
いともたやすくしなびた」
(泉谷しげる「春夏秋冬」)
精神的にがたがたなときって、社交辞令で言われたことで
も、それに片手を置きたいって思うもんなんです。楽になる
まででいいですから、お願いしますっていう。それが駄目だ
ったりしたことがあって、やっぱり俺をうざいと思う人って
思うよりもいるんだなと……。
ほんとは違うんですよ、なんてことを言ったところでもう
遅い。うざかられた原因がわかればいいんですけどね、それ
がわからないから凹んだ部分もなかなか持ち上がらない。無
理に忘れたふりして持ち上げても、うざかられたんだと思い
出して、持ち上げた部分を傷つける。凹んだ部分は血の沼で
す。
とはいえ、もう、しょうがない。
「今日ですべてが終わるさ
今日ですべてが変わる
今日ですべてがむくわれる
今日ですべてが始まるさ」
元気ですよ、俺は。
無理にでも言うしかないさ。
えー、リハビリリハビリ……。
とりあえず、月島にもんじゃ食べにいくぜ。
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